コテコテ関西弁トーク第6回 (2002年リバイバル新聞に連載)
上野五男牧師
次に車は、労務者のたまり場となっている通称「三角公園」へ行ったんや。
寒い冬などに野宿する労務者のおっちゃんたちのためによく炊き出しが行われるとこや。
「もうすぐですよ。ほら見えてきました」
と恵吏也先生が言うと、一人のおっちゃんが怒りながら車に近づいてきた。
「じゃかましいわい!静かにせんかい!」。
マイクを通しての案内と歌がうるさいと言う抗議や。(おっちゃん、すまんな。大事な案内やねん。堪忍やで)。
そやけど、こんなことで中止するわけにはいかへん。
音量を少し下げながらの案内を続けたんや。
伝道隊はひるむことなく、勇敢にチラシを配っていく。再び、車に乗って、またあちこち路傍案内をしながら、やっと教会に戻ってきた。
時計を見たら4時20分。
そうしたら、もうすでに何人もの人が教会の前に集まってきているんや。
びっくりやで。
集会が始まる五時半には四百人ぐらい入る会堂はほぼ満席。ほとんどが中年の労務者のおっちゃんたち。一仰先生に紹介してもろうて、演歌牧師が登場した六時には会堂の後ろは立ち見の人たちでいっぱいや。入りきらへん人らは、教会前に設置されたマイクを通して路上で聞いてるんや。
最初は、演歌好きなおっちゃんらとの接点を考えてな、石原裕次郎の「北の旅人」や鳥羽一郎の「兄弟船」を駄洒落やらギャグ連発のトークを交えて歌ったで。
何台も扇風機が回ってるんけどな、人がいっぱいやから、ごっつう暑いんや。
そやけど、おっちゃんら、じっと聴いてくれて、歌い終われば大きな拍手をくれる。
ゴスペル演歌を3曲ほど歌ってから、「『津軽海峡冬景色』を一緒に歌ってくれる方はいてませんか?」という呼びかけたらな、一人のおっちゃんが勢いよく手をあげて壇上へ来てくれた。ちょっと酒臭かったけどな、「上野発の夜行列車、下りたときから‧‧」と気持ちよく1番を歌ってくれたんで、演歌牧師が2番を歌って、3番を一緒に歌ったんや。
歌い終わったら、割れるような拍手やった。
続けて、ゴスペル演歌を歌いながら、どのようにして信仰をもったかという話をしたんや。
ペテロがキリスト招きに応えて従ったことを演歌にした「あなた信じて」を歌ってからな、「私の人生も、キリストを信じたらまったく新しく変えられました。信じるだけでええのですよ。今晩、キリストを信じてみようと思う人はいませんか?」という招きをしたんや。
そしたら、さっき一緒にデュエットしたおっちゃんが元気良く手を挙げてるやないか。
その他にもに十数人ほどのおっちゃんが手をあげてくれた。
「手をあげた人は信仰の決心を表明するために前に出てきて下さい。お祈りさせてもらいますから‧‧」と言うたらぞろぞろと出てきてくれた。
信じる決心をした人たちのために祈ってたら涙が出てきたで。
ホンマ感謝やな。
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