コテコテ関西弁トーク第2回 (2001年リバイバル新聞に連載)
上野五男牧師
今回は釜が崎へ行ってびっくりしたおもろい話をするで。
釜が崎というたら、関西人はよう知ってるけど、「関西のことなんて知らんわ」という人のために説明しとくな。
東京でゆうたら山谷みたいなとこで、大阪市西成区にある愛隣地区。日雇い労務者のおっちゃんらがようけおるとこや。
ここで長年、伝道してはるのが榮一仰(いっこう)先生夫妻、それに息子の恵吏也先生と美人の真利子夫人。
他のスタッフも全員伝道の情熱に燃えて、みんなええ人ばっかりや。
教会の名前は「救霊会館」。
もうこの教会にぴったりの名前やと思わへん?
ゴスペル演歌コンサートをするということで招かれていったのが8月の暑い日。
集会は夜やというので昼過ぎに教会に着いたんや。
挨拶を終えたら、
「これから路傍案内へ行きますので、先生も一緒に宣伝カーに乗って行って下さい」
と言われて内心驚いたで。
全国あちこち行かせてもろうたけど、宣伝カーに乗って路傍案内に行くのは初めてや。だいたいの教会は講師控え室みたいなところで集会が始まるまで休ましてくれはるからな。
外へ出たら、教会の前に夏の暑い日差しを浴びて宣伝カーがバーンと二台。
なんと、大きなバンの両サイドには「ゴスペル演歌とバイブルメッセージ 上野五男」と横断幕が張ってあったのにはびっくり。
滋賀の大津バプテスト教会から夏期伝道に来た二人の元気な青年も一緒やった。
発車すると、早速、真利子夫人が
「今、評判になっているゴスペルが、今度は演歌となりました。今晩、救霊会館ではゴスペル演歌コンサートが開かれます。どうぞ、皆さん··」
と集会案内を始めて、しばらくするとゴスペル演歌のカラオケのイントロがなり始め、
「先生、どうぞ歌って下さい」
とマイクを渡されたんや。こうなったら、もう後にはひかれへん。
演歌牧師は
「イエスはァいのち、イエスはァ真理、イエスはァすべてェェ」
とこぶしをいっぱいきかせてオリジナルの「神は愛です」を頑張って歌うたで。
拡声器を通して町中にゴスペル演歌がガンガン響き渡るというのはすごいもんや。
歌いながら一人でも多くの人がキリストの救いを知るようにと心の中で祈ってたら感動して涙が出そうになったで。
これが福音を伝えるという喜びやナ、なんて一人悦に入ってると、車は広い道、狭い道をあちこち行って「センター」と呼ばれているビルの前に着いたんや。
な、なんと労務者のおっちゃんたちがうじゃうじゃといてるやないか。
ここの二階は労務者に仕事の斡旋をするオフィスがあって、そのため、このビルの周りはホームレスの寝場所となってるそうや。
そやから座り込んだり、寝そべったりしてるおっちゃんたちがようけおるねん。
みんなこっちを見てる。
別の車に乗ってた一仰先生が集会案内を始めたんや。
その後、ここでも歌ってくれというので歌い出した。そしたら、一人の酔っぱらいのおっっちゃんがなんかブツブツ言いながら近づいてきたんや。
こらえらいこっちゃ。
続きは次回や。
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