コテコテ関西弁トーク第9回 (2001年リバイバル新聞に連載)
上野五男牧師
「やー、よー来てくれたな。おじさんな、演歌歌うんやけど、聞いてくれんの?ホンマかいな?嬉しいやんか」とかなんとか言ってると、二人の可愛い女子高校生は、演歌牧師の顔を見て、ゲラゲラ笑うやないか。
(歌を聞く前に、人の顔を見て笑うなんて失礼な!)
と思うても、口には出したらアカン。
ここはぐっと我慢や。
なんせ、はじめてのお客さんやからな。
ほんじゃ、一発いくかぁ、と気合いを入れて、カラオケを流して「神はぁ愛でぇすぅー、いつでぇもぉ信じてぇぇ、生きてぇぇ、ゆぅきぃますぅぅ」と歌い出したら、この女子高生たち、また笑うんやな。
(まぁ、しゃーないわ。こっちは笑われてなんぼの商売(?)や。でも、そういうたら、この時代の女の子ちゅのは、箸が転がっても面白いというやないか)
と思うたら、こっちも気が楽になって歌い続けたんやな。

そうしたらな、演歌を聴いて、笑ってる可愛い女子高生を見つけた二十歳ぐらいの若いあんちゃんが二人、寄ってきたんやね。
聞くところによると、札幌大通公園は、ナンパの名所やというやないか。
どうも下心見え見えやで。
それでも、演歌牧師は、「おい、兄ちゃんら、ナンパはお断りや」なんて言わへん。
どんなきっかけでも福音に触れるチャンスが与えられたら感謝なことや。
その兄ちゃんたち、女の子になんじゃかんじゃ話しかけ始めた。
歌いながら、耳をそばだてると「売れない演歌歌手の歌なんか、どうして聞いてるの?」みたいなことを言うてる気配。そこに、すかさず、伝道師のフィアンセがトラクトをもってアタックや。
「ゴスペル演歌です。演歌でイエス‧キリストを歌ってます。聴いていってくださーい」
兄ちゃんら、まあ女の子もおるし、そこまで言うんやったら聴いていったろか、てな感じで、「神は愛です」のワンコーラスが終わると、ヒューヒューって言いながら拍手をしてくれたんや。
だんだん盛り上がってきたやないか。
こら、ええ感じや。
そこに助っ人部隊参上。
だれやと思うたら、伝道師の先生とフィアンセの学んだアジアキリスト聖書学院の学生さんたちや。
男女合わせて5人ぐらいの学生のサクラ組が懸命に声援をおくってくれたんや。
人間ておもろいもんで、人が集まってると、なんや、なんやって好奇心の強い人が、また人が集まってくるんや。
旅行中の人たちもライブコンサートに参加してくれて、賑やかになってきてな。
そやから、演歌牧師も力をこめて、いつもよりはこぶしをグッときかせてガンガン歌いまくったで。
だけど、なんぼ元気いっぱいの演歌牧師でも、2時間も歌ってるとだいぶ疲れてくるわな。
腹もへるしな。
「もうそろ終わりにして切り上げまへんか」なんてこっちから言われへんし‧‧。
なんて思ってると、「センセー、お疲れでしょう。そろそろ食事へいきませんか」と伝道師の先生。
これこそまさに天使の声や。(待ってました!)。
レストランで美味しい食事をよばれながら、やっと人心地ついたんやな。
後はゆっくり寝るだけやと思っていると、な、なんと伝道師の先生、思いがけないことを言わはったんや。
「センセー、実はこの後‧‧」
えー、まさか、なんぼなんでもそこまですんのかいな?
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