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執筆者の写真Itsuo Ueno

「札幌おもしろ伝道」その一

コテコテ関西弁トーク第8回 (2001年リバイバル新聞に連載)




札幌で野外ライブをしたときの話をしたいと思うねん。


時は2001年の8月やった。





関西、関東、東北と日本半縦断伝道旅行をしてて、津軽海峡を渡って北海道へ行くとき、車窓から津軽海峡を見たんや。


そのとき、演歌牧師の頭に浮かんできたのは、あの名曲「津軽海峡冬景色」。


この歌にはお世話になってて、コンサートでもよう歌うねん。津軽海峡を見ながら、思わず、この歌ってしもうたわいな。心にジーンときたで。


北海道では、いくつかの教会を回らせてもらったんやけどな、そのうちの一つの教会は、まだ開拓したばかりの教会やった。


若い伝道師の先生とフィアンセの方が一生懸命にしたはる教会でな。(今頃は夫婦で頑張ってはんねやろな。)


こんな教会、演歌牧師は大好きや。


なんでかと言うと、演歌牧師もロスアンゼルスでゼロから開拓を始めたから苦労はようわかんねん。


電話での打ち合わせのとき、伝道師の先生が言わはったで。


「上野先生、うちは開拓ですから、人がいません。ですから、札幌大通り公園へ行って野外ライブ集会したいんです。ここにはいろんな人が集まってくるんですよ。いいですか?」。


いいですか、と言われて、ダメです、とは言われへんわな。




招いてくださった教会の言わはるとおりに奉仕させてもらわなアカンやろ。


勝手なこと言うてたら、今度、呼んでもらわれへんがな(笑)。


大阪の釜が崎でも、ストリートで歌うたことあるけど、あのときはあくまでも、集会の案内やった。


ストリートライブは始めての経験や。




「大丈夫です。センセー、売れない演歌歌手もライブやってますから‧‧」


まあ、こっちも売れへんゴスペル演歌歌手やし、「面白そうですね。行きましょう」と顔の引きつらせながら答えたけど、内心「ほんまかいな。こら、えらいこっちゃ」と思うたで。


当日、旭川から、札幌に着いたのが、夕方の6時前。


迎えに来てくださった先生の話によると、それまで雨が降ってたそうや。


(どうせやったら、土砂降りの雨がずっと続いてたら中止になったのに··)


なんて不信仰な考えをしていると、「感謝です。祈ってたら雨がやんだんですよ」と伝道師先生。


いやあー、これにはお見それいたしました、やで。


不信仰を悔い改めて車でいざ大通り公園へ。


「センセー、まずはこのへんで一発、歌ってください」と言われてみれば、焼きトウモロコシを売っている屋台のおばちゃんのすぐ近くや。


ヤバイんとちゃうかと思いながら、歌い始めてしばらくしたら、案の定、「そんなところで歌わないでくれ。トウモロコシが売れないよ。向こうへ行ってやって!」と言われた。


「わしの歌はそんなにヘタクソか。トウモロコシも腐るんか!」


なんて心に思っても、口に出さずに、移動したんや。


場所を変えて歌っても、誰も立ち止まる人はいてへん。


伝道師先生とフィアンセは必死でトラクトや教会案内を配りながら「どうぞ、ゴスペル演歌を聴いてくださーい」とやってくれはるけど、みんな、冷たい視線を投げかけて通り過ぎるだけ。


こんなときは、歌ってると、だんだん心細くなっていくんやな。


あーあ、どねんしょうと思ってるとき、可愛い女子高校生が2人来て、前のベンチに座ってくれたんや。



こら、なかなかええやんか。












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